俺も使ってるお手軽日記サービスのPosterous。そのCEO、Sachin Agarwalが書いていた記事がなんとなく面白かったので和訳しました。
元の記事: The web sucks. Browsers need to innovate - Sachin's Space
部分的にかなり意訳したり強調したりしてます。以下本文。
Webはクソ。ブラウザはマジなんとかしろ
Webはダメダメなプラットフォームだけど、一方iPadは今後もどんどんすげーアプリがどんどん出てくるのは明らかだろう。
Web業界が長年かけて築いてきたWebサイト達よりもいいものを、どうしてiPadは最初のリリースにも関わらず出せてしまうんだろう?
「Webの終わり」を宣言するために、私はこの記事を先週から書き始めた。「Webは死んだ」とまでは言わない。でももう薄氷を踏んでる状態だ。
Webは静的なコンテンツを扱うには優れていた。でもリッチコンテンツはどうだ?
- AJAXはページの再読込みを駆使してインタラクティブに見せた。でも所詮は特効薬ではなくて、せいぜい絆創膏(band-aid)にすぎない。
- JavaやFlashは、それこそ絆創膏だ。Javaが乗っかったページにアクセスしちゃった時の気持ちを思い出してみろよ。ゾッとするだろ。
- Webアプリケーションでは、スレッドも使えないし、GPUアクセラレーションも、ドラッグアンドドロップも、リッチコンテンツのコピペも、オフラインアクセスも、永続化も満足にできない。私をからかってんのか? Gmailは最近やっとインラインイメージをサポートしたけど、すごいバグってるし。
- Webメーラが台頭したことで「mailto:」が崩壊した。Webページのリンクをクリックしてメールを送りたい、ってすごい基本的なことなのに。
- ネイティブアプリの開発環境はWebアプリの開発環境より良くできてる。XCodeのInterface Builderマジすごい。WindowsのVisual Studioもいいよね。でもWeb開発はどうだ? 未だにテキストエディタって(笑)
より良い体験のできるアプリをみんなが使い始めてる。近い将来、Webのトラフィックや検索は衰退していくだろう。
- いま人々がWeb検索を使ってるのは、それよりいい情報を得るやり方を知らないからだ。Webに散らばっている情報はごちゃまぜで、整理されてない。でもiPhoneなら、欲しい種類の情報が得られるアプリを起動すればいいだけだ。
- Steve Jobsが4/12にiAdsを説明するときにこう言ってた。「検索という行為は色んな場所で行われる。人々がモバイル機器から検索をするとき、彼らがデスクトップから検索するのと同じようにはしないだろう」って。これって正しくは、デスクトップvsモバイルではなく、Webとアプリの間にあるギャップの問題だと思う。
- 私は6年前に人々の検索への過依存についてブログに書いた。当時私はGoogleの検索結果は本当に欲しい情報が書かれたサイトに辿り着くには不十分なものだと感じていた。でも本当に非難するべき相手はGoogleじゃなくてWeb全体だった、と今では思う。
- 多くのiPadアプリは、すでにWeb上にある情報に、違うインタフェースを与えただけのものだ。なのにそれらのアプリは、過去何年もWebでは味わえなかった体験をもたらしてくれている。たとえばNYTimes、Netflix*1、Zillow*2のアプリとかね。
- たとえばABCのiPadアプリを見て欲しい。あのABCとはいえ、優秀なiPad開発者なんているんだろうか、と私は最初疑ってた。でも彼らのリリースしたアプリは最初のバージョンですら、今までWebではとうてい感じたことのない体験を与えてくれた。
- 良い開発環境、リッチなSDK、シンプルで高品質な規格などによって、今アプリ開発者と消費者はかつてないほどいい関係にある。
ブラウザは革新的じゃない。パフォーマンス向上、バグ修正、標準規格の準拠に必死になってるだけ。
- 実際、ブラウザはバグ修正や機能改善を続けているけど、Webそのものの機能を高めようとはしていない。単に標準に従っているだけだ。
- ブラウザは、そのプラットフォームにおいてベストなやり方でなかったとしても、標準規格を実装することを強制されてる。
- ブラウザは標準外の機能を実装しようとしない。開発者が使いたがらないから。それっていつまでも革新しないってことだよね。
- そもそもブラウザはその標準でさえちゃんと実装できてない。どのブラウザにも癖とか問題があって、Web開発はまるで災害だ。彼らは何一つまともにできてないじゃん。
Webが生き残る唯一の方法は、改革に焦点を絞ることだ。標準に足並みを揃えることじゃない。
- すべてのブラウザがなぜ同じ標準に従う必要がある? それは開発者達への、そして改革の足かせにしかならない。
- ブラウザは今すぐさっさと改革するべき。他のブラウザとの互換性なんて気にしてないでさ。
- Web開発者は開発したいプラットフォームを選ぶことができるからね。君の作ったアプリがChromeでしか動かないって? いいぞもっとやれ。
- 他のブラウザが実装してる機能がいいと思ったら真似して自分とこのブラウザにも実装すればいいじゃん。
- そんで最後にはこうなる。
Webブラウザ、そしてWeb全体にすごい改革が起こる ↓ それぞれのブラウザは独立したプラットフォームになって、それぞれ沢山のアプリを抱えるようになる ↓ ユーザは使いたいアプリが動くブラウザを選ぶようになる ↓ アプリをちゃんとサポートしてないブラウザは死ぬ ↓ Web開発者は好きなブラウザだけで実装すればいいので、ブラウザ互換性対応に悩まなくてよくなる ↓ 不人気のブラウザは淘汰されて、たった一つの最高のブラウザだけが残る
Web開発は常にトレードオフの中にある。「沢山のユーザを獲得」しつつ、彼らを「満足させる品質」を作り上げなきゃいけない。Webは着実に良くなってはきているけど、そのスピードはあまりに遅すぎる。
Gmailが2004年にリリースされたとき、その当時私が使っていたメーラから一歩進んで十歩戻ったような有様だった。しかし今でも、Gmailの機能はここ数年のデスクトップメーラで作られてきたものの後を追っているだけだ。
いま、Webは重要な転換期の中にいると私は思う。Webはデスクトップアプリケーションと同等になるのに10年以上かかってるし、しかもイマイチだ。そしてネイティブアプリが加速していく中でWebは絶滅の危機に瀕している。