不要なメルマガ広告はspamフォルダではなく配信拒否(オプトアウト)しましょう

一般にspamと呼ばれる電子メールには2種類あります。オプトイン(配信承諾)して受け取ったメールと、オプトインしてないのに届いたメールです。

この記事は、インターネット全体の利益を考えるなら、オプトインして受け取ったメール広告を迷惑に感じたら、spamフォルダに入れて放置するのではなく、配信拒否(オプトアウト)するべきであることを促すものです。

(追記:なお、お肉のほうのスパムは大文字のSPAMで、迷惑メールのほうは小文字でspamと書くそうです。コメントありがとうございます)

オプトインとオプトアウト

あなたがメールを受け取る意思を表明することを、オプトインと呼びます。 反対に、「このメールは受けとりたくない!」という意思を表明することを、オプトアウトと呼びます。

例えば、楽天などのネットショップで買い物をした時に、「メールマガジンに登録する」というチェックボックスがあったとします。これを有効にすると、オプトインしたことになります。

迷惑メールと法律

2012年11月現在、事業者が、オプトインを得ていない相手に対し電子メール広告を送ることは、特定商取引法違反です。

これは、2008年12月1日に改正された特定商取引法で、電子メール広告のオプトイン規制が追加されたためです。 それまでは、明示的にオプトアウトをしたユーザでなければ、電子メール広告を送っても良かったんですが、このオプトイン規制の導入により、オプトインしていない相手には送ってはいけないことになりました。

これに違反すると、1年以下の懲役又は200万円以下の罰金、あるいはその両方の罰則が科せられます。

オプトインしてないのに迷惑メールが届いたら

典型的な例としては、どこにも登録した覚えがないのに勝手に届く出会い系の広告メールがそれです。 前述のとおりこれは違法行為であり、きつめの罰則があります。

このような違法業者に対し、正直にオプトアウトをしてしまうと、それだけであなたのメールアドレスがアクティブなものだということが違法業者に伝わってしまいます。そのようなメールに「配信停止はこちら」などのリンクがあっても、クリックしないことが懸命です。

デ協に報告しよう

デ協(一般財団法人 日本データ通信協会)が運営している迷惑メール相談センターは、総務省から委託を受け、迷惑メールに関する相談や情報を受け付けている、信頼できる機関です。

迷惑メール相談センターでは、総務省および消費者庁と連携して、市民から報告のあった悪質な業者に対し、行政処分を実施してきた実績があります。

行政処分を食らうのは、事業者にとって大きなダメージがありますので、悪質なのを見つけたら、どんどんやりましょう。

報告するには

もしオプトインしたはずのない迷惑メールが届いたら、 meiwaku@dekyo.or.jp にそのメールを転送するだけでOKです。 また、オプトアウトした後にまだ迷惑メールが届いたら、 mailagain@dekyo.or.jp にそのメールを転送しましょう。

詳しくは以下のリンクを見てください。

迷惑メール相談センター|情報提供のお願い|JADAC

オプトインして届いたメールが迷惑に感じたら

オンラインショップのメルマガに代表されるメルマガは、いつの間にかチェックボックスにチェックが入っていて届いてしまっているという類です。これは「オプトインして受け取った」メールです。

そんなチェック入れた覚えねーよと思うかもしれませんが、業者は、あの手この手でオプトインを取ろうとしてきます(実はこれも法的にグレーな行為です。広告メールのオプトアウト方法とオプトイン方法は、わかりやすい場所に表示する義務があります。無茶なのを見つけたらデ協に報告しましょう)。

オプトアウトしよう

オプトインをしたメルマガは、正規の手順を踏んでオプトアウトするのが、正義に則ったやりかたです。

オプトアウト方法はメール本文のわかりやすい位置に表示されているはずです。 この表示は義務であり、もしオプトアウトのやり方わかんねーよというメールがあったら、デ協に報告しましょう。

楽天メルマガを一括でオプトアウトする

以下のURLから、楽天のメルマガを一括で購読解除できます。楽天のメルマガは、「楽天からのメルマガ」と「ショップからのメルマガ」があるので、両方を購読解除する必要があります。

http://emagazine.rakuten.co.jp/ns?act=chg_data

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ちなみに、全部 admin に転送するのは、違法スレスレなのでおすすめできません。

インターネットをより良くしたいなら、迷惑メールを正しく処理しよう

ここからは、エンジニア向けの話になります。

この記事を書いた最大の動機は、まわりのエンジニア達が、不本意ながらも自分が「オプトインした」であろうメルマガ等を、 Gmail でうまいことフィルタリングしていることを自慢気に Twitter などで嘯いているのが、見るに耐えなかったからです。

はっきり言ってそれは自慢になりません。自分でオプトインしたメルマガをspam判定させて購読し続ける行為は、インターネットを少しずつ悪い方向に導いています。もしあなたがインターネット関連の仕事で生計を立てているなら、恥ずべき行為です。

spamフォルダとオプトアウトの違い

ちゃんと不要なメルマガを購読解除(オプトアウト)するのと、spamフォルダに入れて見えなくするのとでは、どう違うのかというと、

もしあなたがメルマガをspamフォルダに入れたとしても、送信業者がそれを知る方法はありません。

それが大きな違いです。

メール広告と利益

事業者が電子メール広告をなぜ送るかというと、儲かるからです。電子メールは送信するコストが安いため、非常に低いコンバージョンで利益が出せると言われています。

受信側のリソース

一方で、受け取る側のことを考えてみてください。莫大な量のメールを受信するMTAや、それを保存するストレージを維持するには、莫大なコストが掛かっています。送信事業者は自らの利益になるため、その利益でメール送信能力を増強することができますが、受信しているサーバは、受け取る迷惑メールが増えれば増えるほど、損する一方です。あなたが日頃便利に使っているメールサービスは、あなたの迷惑メールを受けるためのリソースに投資し続けているのです。

Gmail は安心と信頼の Google だから無限の受信能力があるし、メールボックスにどれだけ迷惑メールをぶっこんでも大丈夫と思ってるかもしれませんが、まともなエンジニアならリソースが有限であることは理解していて欲しいですし、その行為は Google の迷惑メールフィルタの精度向上には貢献してるかもしれませんが、インターネット全体にとっては不利益です。

悪質な業者に、あなたは悪質であると知らせる

われわれのようにインターネットを生業にしている人間は、インターネットをより良くする義務があります。 なんとか天みたいに、儲かるからといってアコギなオプトインを取って大量の広告メールを送りまくる業者が一刻も早くそれをやめることが、インターネットのあるべき姿ではないでしょうか。

大事なことなのでもう一度書きますが、

もしあなたがメルマガをspamフォルダに入れたとしても、業者がそれを知る方法はありません。

むしろ、業者はメルマガの購読率を営業指標にしている可能性すらあります。 今日もお客さんみんながメルマガを購読してくれた、やったね、という具合です。 悔しく思いませんか?

せめてわれわれエンジニアだけでも、彼らに、あなたが悪であると伝えなければなりません。

ささやかすぎるかもしれませんが、迷惑であると感じたメールをオプトアウトしたり、デ協に報告することが、よりよいインターネットを作るべきわれわれエンジニアの正義であり、職業倫理だと私は考えています。