スポーツバイク自体はもともと2010年からSurly Steamrollerというクロモリのピストバイクを乗っていて、これは今もメンテをしながら乗り続けてる。
これとは別に、2021年に一人旅をしたいと思い立って、前からやってみたかった輪行をするためにCannondaleのSupersix Evo (normal mod, Disc, Ultegra Di2, 2021)というカーボンのロードバイクを買った。ピストバイクはその仕組み上、クイックリリースがなく車軸をボルトでしっかり締めて乗るのでホイールを取り外しにくく、また固定ギアであるため体力消耗が激しいので輪行にはあまり向いていないのであった。Supersix Evoは軽く、なにより見た目が洗練されている。ブレーキや変速のためのケーブルがハンドルやフレームに内装されているため、ケーブルの類いが見えない。この構造のため、ハンドルは取り外せない。
見た目のよいSupersix Evoが輪行でどうだったかというと、まあ面倒です。カーボンという素材は繊細なので、車体を輪行袋に入れて空輸しようもんなら気が気でない。またディスクブレーキも繊細なパーツで、でかい円盤がすこしでも曲がったら走れなくなるため、注意深く保護する必要がある。そしてなによりケーブル内装ハンドルは90度曲げられない構造であるし、取り外せないため、輪行袋にコンパクトに収まらない。もちろん輪行はできるけど、輪行のために買うような自転車ではない。そして僕はこの自転車に見合うような技術も脚力も持ってない。それでも、見た目がめちゃくちゃ好みだったので全部許せた。なので手放したのはそれが理由じゃない。
手放した理由は、
- 膝に不安がありロングライドが難しい
- 家庭の事情で室内保管が難しくなった
というところ。
膝の不安について。膝関節自体は問題ないんだけど、膝の側面の靱帯を痛めやすいことが分かってきた。これまでいわゆるランナー膝(腸脛靱帯炎)というやつに何度もなってる。自転車だけでなく、ボルダリングや、日常のちょっとした運動をきっかけに痛みが始まり、その後2-3ヶ月は曲げ伸ばしで痛みが伴うようになる。これは日頃の運動不足や柔軟不足が起因していて、特にデスクワークでお尻の筋肉が固まっていること、またゆるいO脚というか、足の小指側に体重をかけて歩く癖があること、などが腸脛靱帯に負荷をかけがちなのではと今のところ考えている。 ロングライドは50kmくらいまでは問題なくて、50kmあたりを越えると少しずつ痛みが出始め、60kmを迎えたあたりで痛すぎてこげなくなる。これは過去3度同じような距離で痛みが出ているので、このあたりが今の僕の限界ということになる。都内の感覚だと50kmはなかなかの距離だけど、自転車乗りからするとロングライドと呼べる閾値は100kmあたりからのようで、僕は100km走ってみたかった。
北海道の利尻島一周(約60km)はめちゃくちゃ気持ちよかった。島の外周がサイクリングロードになっていて、アップダウンもあまりなく、初心者には丁度良いコースだった。やはり終盤は膝が痛かったけどなんとか一周できた。
つくばりんりんロード(片道40km)を走った時は、途中で膝が怪しくなったのでギリギリ最後までは行かず60kmくらいに収まるような往復をした。終盤は痛すぎて片足で漕いでいた。翌日は霞ヶ浦一周をする予定だったんだけど、やはり翌日も回復せず諦めた。
霞ヶ浦一周(ショートコースで約100km)をリベンジしたときが一番大変で、50kmあたりでやはり膝が痛み出したものの、引き返しても50kmあるし、最寄り駅は10km先といった状況で、泣きながら10km漕いで駅まで行った。駅までの道は上り坂もあり、途中雨も降ってきて大変だった。駅に着くと偶然タクシーがいたので、自転車をばらしてトランクに載せてもらい、出発地点の土浦まで帰った。このときのタクシー代は2万近くかかってびっくりした。自転車で来たような距離なのにこんなにかかるの!?と思ったけど、よく考えたら60kmというのは東京から山梨まで行けるような距離感なので当たり前である。
毎回、今度は気をつけてれば大丈夫かも?と思い、ペダリングを気をつけたり定期的なストレッチをしながら走っていたけどだめだったので、次こそ大丈夫という保証はない。ローラー台で鍛えれば大丈夫かもと思ってWahoo Kickrを買ってみたけど全然楽しめなかったので定着せず手放してしまった。そんなこんなで、輪行に行きたいなと思いつつも、膝がな〜となってすっかり遠のいてしまったのであった。
そしてロードバイクを室内保管していた部屋は、将来子供部屋にする予定で物置のようにしていた部屋を、コロナ禍のリモートワークをするために僕がデスクなどを置いて自分の部屋のように使っている、期限付きの自室なのである。子供が小学校に上がりその期限が近づいてきて、ロードバイクをそろそろどうするか考えなくてはならず、ベランダでの屋外保管の選択肢はあったものの、綺麗なうちに誰かに乗ってもらった方がいいだろうと思って、中古屋さん(ビチアモーレ南麻布店)に持ち込んだ。
担当者さんに査定をしてもらうと、「輪行に行かれてたんですね。分かりますよ、傷で。一度ではなく何度も行かれてたんですね」と言ってもらえて、モノに思い入れを抱くタイプなので、一緒に電車や飛行機やフェリーに乗ったことや、つらいときに現実逃避の相手をしてもらったことを思い出し、泣きそうになりました。本当は霞ヶ浦一周をやりきりたかったし、しまなみ海道もお前と走ってみたかったよ。