SURLYというメーカーのSteamrollerという自転車を買いました。いわゆるピストバイクと呼ばれる固定ギアの自転車です。
固定ギアというのはフリーギアの対義語で、簡単に言えば、ペダルを逆に回せばバックができる自転車のことです。ピストは固定ギアから生み出される独特の乗り心地と、変速機が無いことによる構造のシンプルさが魅力です。
SURLYはレース志向の人にとってはあまり知られてないアメリカの街乗りバイクメーカーで、シンプルなデザインと拡張性の高い設計に人気があり原宿界隈(笑)ではよく走ってるのを見ます。
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なぜピストにしたのか
最初は単に自転車が欲しいなーと思っていたら id:yokochie にクロスバイクの GIANT ESCAPE R3 を紹介されたのがきっかけです。クロスバイクというのは街乗り用のスポーツバイクで、比較的安価(6万〜10万程度が主流)で入手できることもありとても売れています。
だんだんと興味が出てきて、自転車の情報をネットで調べたり雑誌を買いあさったりお店を巡ってみたりサイクルモード(大規模展示会)に行ってみたり、といった生活を昨年の秋頃から3ヶ月くらい続けていました。
最初はクロスバイクが欲しかったのにも関わらず、ロードバイクに興味が出てきて、しかもクロモリ・ホリゾンタルのロードが欲しくなってきたのでした。クロモリというのは鉄で、アルミやカーボンが主流の自転車業界の中にあって枯れた素材ではあるんですが、細くて美しいフレームが作りやすいことから未だに根強い人気があります。ホリゾンタルフレームというのはトップチューブ(フレームの上辺)が地面と水平(ホリゾンタル)になっているものを言います。現在はスローピングフレーム(トップチューブが斜め)が主流であり、ホリゾンタルは古い競技自転車で多く使われていたレトロなデザインなのです。まあでも、細身なクロモリで、ビシッとホリゾンタルな自転車が、やっぱりかっこいいと思ってしまうのです。
クロモリホリゾンタルなロードというのは、現行の自転車では稀です。人気あるんだからもっと作ればいいのにね。そういった自転車もあるにはあるんですが、高いモノが多いです。
例えば僕が欲しかったロードのひとつに ANCHOR の RNC7 という自転車があるんですが、これは完成車で実売24万くらいです。実物を見てみれば一目瞭然なのですが、フレームの作りが芸術的に美しいです。
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実は24万というのはロードバイクの中では高い方ではなくて、プロ選手ではない一般のファンのための普及モデルがこのあたりの価格帯なのです。まあつまりロードは、高い。
ロードが高くなる理由の一つはコンポーネント(変速機のパーツセットのこと)にあります。コンポーネントにはグレードがあって、それに比例して値段が跳ね上がります。つまり変速機が無ければその分安くなります。変速機の無い自転車、つまりピストバイクは、ロードと似たようなフレームを使っていても安いです。
見た目のオシャレさと安さでピストバイクは近年とても盛り上がっており、往年のクロモリホリゾンタルなデザインが世界中の各社からわんさか出ています。安くて選び放題、素晴らしいですね。
クロスバイク欲しい→むしろロード欲しい→ピスト可愛くね?→でも固定ギアって辛そう→やっぱりロードだよな→むしろクロスでよくね?→いやでも(略)
というのを3ヶ月間悩みまくった挙句ピストにしたのは、サイクルモード2009という自転車の展示会で試乗した現在の愛車、SURLY Steamrollerの乗り心地に惚れたのが決め手でした。
固定ギアとブレーキについて
固定ギアはペダルを回した分だけタイヤが回り、ペダルを止めるとタイヤが止まります。ですが、一度スピードを出した自転車には慣性力が働いているので、ペダルを止めるには、ペダルを逆方向に踏んで、そのスピードを出すのと同じだけの力をかけなければいけません。これを「バックを踏む」といいます。ある程度のスピードが出ている自転車を、バックを踏んで止めるにはものすごい脚力が必要になります。無理にやろうとすると膝を悪くするので要注意です(俺みたいに)。
以上の理由からピストバイクは、物理的にはブレーキ装置が無くても止まることができます。なので、見た目のシンプルさを重視してブレーキをつけない輩が多く、ピスト乗り全体が社会的に白い目で見られているのもまた事実です。当然ですが自転車にブレーキをつけないのは違法です。
俺は全然筋力がないので、前後ブレーキをバッチリ装備してますし、しっかり握りこめるようにブルホーンハンドルに変更しています。
固定ギアの乗り心地
まだ80kmくらいしか走っていませんが、その中で感じた固定ギアのしんどいところを挙げてみます。
- 漕ぎ始めがきつい
- ピストバイクはスピードが出せるように、重めのギアになっています。なので、漕ぎ出しはとても重いです。
- 上り坂がきつい
- ギアが重いので、上りはとてもハードです。
- 下り坂もきつい
- 下り坂でも、つねにペダルを回していなければいけません。スピードがでているときに漕ぐのをやめると、極端な話、ペダルに足を下から跳ね飛ばされて、吹っ飛ばされます。フリーギアの自転車は下り坂で足を休めることができますが、固定ギアにとって下り坂は危険ですし足に負担がかかります。
- ペダルの角度が不自由
- たとえば段差を乗り越えるときに、軽くジャンプするような感じで前輪を浮かせたりするとおもうんですが、踏ん張れる位置にペダルがきていないといけないので、難しい時があります。また、停止状態からスムーズに漕ぎ出すためには、後輪を浮かせ、力を入れやすいような位置にペダルを持ってきておく必要があります。
次に固定ギアの良いところを挙げます。
- タイヤとの一体感がすごい
- ペダルとタイヤの間に変速機やフリーギアといった余計なものを挟んでいないので、踏み込んだときのタイヤのレスポンスがなんとなくダイレクトな気がします。
- 静か
- フリーギアでは漕ぐのをやめてもタイヤは転がるんですが、そのときに「チキチキチキ…」という音がしますよね。個人的な話なんですが俺はあの音がなんかキライで、当然ですが固定ギアにはそんな音がなく終始静かです。これがなんか気持ちいいです。
- なんかストイックな感じがする
- 俺は今!!自分の足で走っているぞ!!回してる!めっちゃ回してる!!っていう自己満足が得られます。
- 運動になる
- つねにペダルを回し続けるわけですから、走行中に足を休められるフリーギアの自転車とは運動量に差があります。どのくらい違うのかは知りませんが、なんとなく余計にカロリー消費してる気持ちになれます。
固定ギアは走行性能ではフリーギア+変速機に負けているのは明らかですし、基本的に自己満足の世界です!!!!
まとめ
変速機やフリーギアといったものは長い自転車の歴史の中で生み出された素晴らしい発明なので、お金のある人はロードバイクを買いましょう。
ピスト(固定ギア)は不便ではあるのですが言葉では説明しがたい魅力に溢れているので、敬遠してる人もぜひまたがってみてほしいですね。